あらい劇団×劇団ざくろう公演『時をこえたおくりもの』におけるハラスメント防止ガイドラインを作成しました

あらい劇団×劇団ざくろう公演『時をこえたおくりもの』
ハラスメント防止ガイドライン

2024年2月に、劇団ざくろうは荒井児童館の子ども達(あらい劇団)と共に演劇作品の上演を行います。
この企画で劇団ざくろうのメンバーと小学1~4年生の子どもとが協働でクリエイションを行うにあたり、年齢や経験、実績などの差によって生じてしまうであろう権力勾配の差に起因するハラスメントを予防することを目的としたガイドラインを策定いたしました。

【ハラスメントの定義と種類について】
《ハラスメントの定義》
→ハラスメントとは、属性(性別や年齢、職業、宗教、社会的出自、人種、民族、国籍、身体的特徴、セクシュアリティなど)や人格等に関する言動などによって相手に不快感や不利益を与え、尊厳を傷つけること。
行為者の意図に関係なく、相手を不快にさせたり「傷つけられた」と感じさせる発言や行動がハラスメントに該当する。

《代表的なハラスメントの種類》
(1)セクハラ
→セクシャルハラスメントの略。
性的な言動や性的・恋愛的欲求、性別役割意識(女性/男性は○○であるべき)等に基づいた言動により、精神的苦痛を与えること。
また、セクハラには「対価型セクハラ」と「環境型セクハラ」の二種類があります(男女雇用機会均等法の規定によるもの)。
・対価型セクハラ・・・当事者の意に反する性的な言動への対応が原因で、行為者から不利益を被ったり、不当な扱いを受けることを指します。
・環境型セクハラ・・・とは、当事者の意に反する性的な言動や現場の環境設定(例:性的なポスターを掲示する等)により意欲が下がったり、集中できないなど、環境を害されることをいいます。

(2)パワハラ
→パワーハラスメントの略。
キャリア上の地位や経験、人間関係などの現場内での優位性を背景に、適正な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与える又は現場環境を悪化させる行為をいいます。
パワハラの行為類型はつぎのように6つに整理されています(厚生労働省「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」平成24年1月30日)。なお、行為類型はパワハラの代表的な例を示すもので、これ以外の行為がパワハラに該当する場合もあります。
①身体的な攻撃 ・・・暴行 ・傷害
②精神的な攻撃 ・・・脅迫 ・名誉毀損 ・侮辱 ・ひどい暴言
③人間関係からの切り離し・・・隔離 ・仲間外し・無視
④過大な要求 ・・・業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制 、仕事の妨害
⑤過小な要求 ・・・業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
⑥個の侵害 ・・・私的なことに過度に立ち入ること
また、パワーハラスメントの定義として3つの構成要素があります。
➀優越的な関係に基づいて
②業務の適正な範囲を超えて
③身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること
この3つの構成要素を満たすものがパワハラとされます。パワハラの6つの行為類型に当てはまりそうであっても、①~③の構成要素を欠くものはパワハラには当たらない場合があります。

(3)モラハラ
→モラルハラスメントの略。
パワハラが被害者と加害者に立場上の上下関係があるのに対し上下関係がなくおこなわれているもの。精神的ないじめ・嫌がらせ。
言葉の暴力、陰口、人格の否定、無視する、仲間外れにする、仕事の妨害、仕事上の各種嫌がらせ、プライベートなことへの干渉等が該当する。
※諸外国(フランス等)では懲役および罰金の対象となるケースも

(4)SOGIハラ
→性的指向・性自認に関するハラスメント(アウティングなども含む)。
※Sexual Orientation 性的指向:どのような性の人を好きになるのか
Gender Identity 性自認:自分の性別をどのように捉えているか
※アウティングとは
→本人の同意なしに、セクシュアリティに関すること(ゲイ、レズビアン、バイセクシャル、性同一性障害であること等)を周囲に暴露する行為。アウティングの被害者が精神疾患となり、自殺に至った事件もあります(一橋大学ロースクール事件)

★二次被害
→ハラスメント被害者が一時被害に起因する様々な被害を二次的に受けること。これは加害者ではなく、周囲や第三者からの言動によって被害者が更に傷付けられる状態のことを指します。

【基本的な稽古場ルール】
① ケガをしない、させない(心も含めて)
② 無理をしない、できないことが悪いのではない(これからできるように努めればよい)
③ しんどかったらちゃんと休む(稽古中でも)
④ 人を馬鹿にしない自分を馬鹿にしない
⑤ 言いたいことは言える時と言えない時があるので、もし言えない時は周りに頼る(児童館職員など)

【ハラスメントを防ぐための具体的な対策】
① 子どもとの稽古では、必ず児童館の職員が付き添うようにする
② 1時間に1回、或いは創作に行き詰まったら必ず休憩を取る
③ 「いやだ」という発言があったらすぐにやめる
④ その人の属性を規定させるような発言を慎む
⑤ 個室にて二人きりの状況をつくらない
⑥ 居住地や家族構成等、プライベートな情報を本人に断りなく口外することを固く禁ずる
⑦ その日その日で気になることがあったら児童館職員に都度ヒアリングを行う
⑧ 毎回稽古開始時に「今日何をやるのか」を伝え、稽古終了後は職員と必ずふりかえりを行う

【ハラスメントに該当する行為が発覚した場合の対応について】
① 緊急を要するような場合を除いては、まず被害者の了解を得た上で第三者への聞き取りなどを行い事実確認を行う(この際、二次被害の発生には細心の注意を払う)
② 事実である場合に加害者へ警告を行う(加害と被害が明らかな場合は罰則の場合も)
③ それでも改まらない場合には降板とする
※状況の改善が困難な場合には、ハラスメント相談窓口や公的機関へ繋ぐことも視野に入れます

【その他、子どもと創作を行うにあたってのトラブル回避のための対策】
・子どもと直接連絡先を交換することは絶対に行わず、必要な情報は児童館の職員と保護者を通して伝達を行う
・創作現場以外でのプライベートでの接触は禁止とする

【公的機関等の相談窓口の紹介】
舞台芸術関係者向け性暴力・ハラスメント相談窓口リスト
https://harassmentmadoguch.wixsite.com/list

ハラスメント対策ポータルサイト「あかるい職場応援団」内・相談窓口のご案内
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/inquiry-counter

劇団員の田川遥が「演劇ユニット石川組」へ入団いたしました

田川遥が、先日の客演を機に「演劇ユニット石川組」の新メンバーとして加入いたしました。

演劇ユニット石川組HP

ただしざくろうへの所属も継続してゆきますので、ざくろう・石川組双方にとってよい影響を及ぼすようね決断となることを信じております。

今後も劇団ざくろう及び演劇ユニット石川組の田川遥をよろしくお願いいたします!

劇団ざくろう×在仙演劇人コラボ公演vol.1『彼岸の彼方から』 感染症対策についてと今後の状況の変化に対する対応の想定

劇団ざくろう×在仙演劇人コラボ公演vol.1 『彼岸の彼方から』の公演初日が迫ってきておりますが、現在、依然として新型コロナウイルスの感染が衰える気配を見せておりません。
そこで、今公演においての感染対策についてと今後の状況の変化に対してどういった想定をしているのかをお伝えいたします。

【感染対策について】

当劇団では「一般社団法人 緊急事態舞台芸術ネットワーク」が公開している「舞台芸術公演における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン(第五版)」(2022年7月22日改定)に則った形での感染対策を行っております。

舞台芸術公演における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン(第五版)(2022年7月22日改定)
http://jpasn.net/stage_guideline220722b.pdf

その中でもいくつか具体的な事例を挙げますと、

・舞台前面から客席最前列までの距離を2メートル設ける
・稽古時にはこまめな手指消毒、定期的な換気、マスクも必ず不織布マスクを使用(劇団でマスクを購入、稽古時も必要に応じ交換しております)、休憩時の食事は一人ひとり距離を取っての黙食の徹底
・日々の検温と、少しでも体調に異変を感じたらどのようなタイミングでも「休む」と言い出すことのできるメンバー間の関係性の構築
・キャストと来場者との接触を発生させない体制づくり
・完全予約制とし、来場者の氏名・緊急連絡先の把握を行う。

などがあります。
またそれ以外でも、客席を会場の従来の収容数の半数にする等の対策も行っております。

【今後の状況の変化に対しての対応の想定について】

今後、もし座組内で感染が発覚した場合にどのような対応をしていくのか、いくつかのパターンに分けて想定しておりますのでお知らせいたします。

パターン①
全ての座組(作品のチーム)のメンバー全員が一人として感染することなく千穐楽まで無事
→予定通り上演する

パターン②
誰かしらの感染が発覚し、関係者の中に濃厚接触者に該当する者がいない
→役の組み替えや代役を立てて上演

パターン③
②の状況だが、代役を立てることで作品の質を著しく損なう場合
→作品の差し替え(少人数の出演者の短編を一~二本)

パターン④
座組そのものが崩壊するレベルの感染状況(クラスターが発生)の場合(1チームだけ)
→各チームの演目を入れ替えるなどして公演そのものは行う

パターン⑤
2チーム以上の座組が崩壊or行政などからの自粛要請が出た場合
→公演そのものの延期

なお、公演に何かしらの変更が生じた際にはご予約いただいた方へは速やかにその旨のお知らせを行い、キャンセルいただくかどうかお伺いいたします。
また、公演が延期となった場合、その時点で予めご予約いただいていた方には延期後の公演情報の先行公開や先行予約受付をするなど、何かしらの優遇措置を取りたいと考えております。

【お客さまへの感染症対策のお願いとお知らせ】

・マスクの常時着用および入場時の検温、手指消毒にご協力ください。
・会場内ではお客さま同士での会話は極力お控え願います。
・発熱等、少しでも不調を感じた場合はご来場をお控えいただくようお願い申し上げます。
・発熱・体調不良時はご来場をお控えいただきますようお願い申し上げます。また、検温時に37.5度以上の発熱があった場合は入場をお断りすることがあります。
・受付にお並びの際は、前後の間隔を広く取っていただきます。
・ご提供いただいた個人情報は厳正に取扱い、保健所等の公的機関より要請があった場合には情報提供を行うことがあります。

以上、日々変動し先の読めない状況ではありますが、どのような状況になろうとも決して諦めることなくその時にやれることを確実に、そして関わる人間の安全を最大限慮りつつ積み重ねて参りますので、どうかよろしくお願いいたします。

2022年8月12日(金) 劇団ざくろう代表・横山真

「劇団ざくろう×在仙演劇人コラボ公演」延期のお知らせ

今回「劇団ざくろう×在仙演劇人コラボ公演」の現場では、このコロナ禍での上演へ向かうにあたり稽古初日にガイドラインを皆で読み合わせたり、メンバーが感染症対策の講座を受講しそこで学んできたことを皆にシェアしたりしながら、劇団員一人ひとりの感染対策への意識付けと、作品のことだけでなく公演を無事実現させるためにどうすべきかについて各人が当事者意識を持って考えることを重視してここまで創作を進めてまいりました。
また、毎回台本稽古に入る前には日々変わり続ける状況に対し今感じていることなどを話す時間を必ず設けてもおりました。

そんな中で、収まるどころか日々拡大し続ける感染状況に対し、この公演をどうすべきかについて2月に入ってからは度々話し合ってきました。その結果、今回の公演の上演時期を延期する、という結論に至りました。

この決断は、メンバーにとって決してネガティブな決断ではありません。もちろん行政や学校からの要請などによるものでも一切ありません。
自分達で考え、設けた公演関係者及びご来場くださるお客様方の安全を確保できるであろう基準を超えてしまったからこその決断です。

延期そのものは残念なことではありますが、しかしこの状況下にあって劇団員一人ひとりが作品の創作のみならず公演での安全な運営についてやお客様の安全について真摯に向き合うことによって劇団としてのレベルアップに繋がっている実感を持てており、延期後の上演ではそんな成長した劇団員の作品をお見せできるのではないかと思います。
また、今公演にてコラボを予定しているキサラカツユキさん、そして三人の会の佐藤興治さん、客演予定の千石すみれさんにも延期に対し十分なご理解をいただいており、むしろ延びた分だけ更に面白いものを提供してやるとばかりの気合いを示していただいております。

なお、延期後の上演日程は2022年8月16日(火)~17日(水)を予定しております。
会場は変わらずせんだい演劇工房10-BOX別館 能-BOXとなります。

延期といってもただ時期が後ろにずれるのではなく、時期が変わってよかった!と思える公演にしていく心積もりです。どうか引き続きよろしくお願いいたします。

2022年2月16日(水) 劇団ざくろう代表 横山真